会社を経営していくにあたっては、本業のビジネスを支えるための資金が枯渇しないように常に配慮しておかなければなりません。
日常の運転資金が足りなくなれば必要な企業活動ができなくなりますし、支払いに用いる現金が足りなくなれば
資金ショートの危険が生じます
会社は例え黒字であっても倒産することがあり、せっかくビジネスが順調に進んでいても突然の資金ショートであえなく倒産、という例は実際よく聞きます。
経営者としては常に資金枯渇に備える必要がありますが、普段付き合いのある銀行も融資に際しては腰が重く、必要な時に必要な額を融通してくれる期待は持てません。
相談に乗ってくれたとしても融資実行までは月単位でかかることもあるので、緊急性のあるシーンには対応できないことが多いです。
こうした金融機関の融資のような不都合がなく、必要な資金を迅速に用立てる方法として今「ファクタリング」が注目されています。
本章ではファクタリングがどのような資金調達方法なのか、仕組みやメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
目次
■ファクタリングとは?
ファクタリングは数ある資金調達法の一つで、元々は海外発祥とされています。
古くは近代化以前の貿易活動における利益保証を目的に用いられたという歴史もあるようで、そのためか日本国内よりも海外で先行して発展した経緯があります。
日本に普及してきたのはここ数十年と言われていますが、そのころにはすでに海外で一般的な資金調達法として発達しており、日本国内のビジネス慣行にも相性が良いことから自然に普及し始め、今日では一般的な方法として認知されるようになりました。
国内のビジネスでは掛け取引が行われる慣行があり、この中では掛け売り、掛け買いが行われます。
すなわち、取引に際して代金の授受をその場でせずに、取引を数回行った後で決められた期日にまとめて精算するのか掛け取引です。
掛け取引において、サービスや商品を売る側は取引先に商品等を卸す際、すぐに代金を受け取ることはできませんが、将来の一定期日に代金を受け取れる「権利」が発生します。
これが売掛債権で、その債権の目的となっているのが売掛金です。
例えば一か月後に支払う約束の売掛債権があったとして、それまでは代金を受け取れないわけですから、その間に現金を必要とする事態となった場合に対応することができません。
債権はあくまで目に見えない権利ですから、現金のように支払いに用いることはできないのです。
しかし将来代金を受け取る権利は確かに財産的価値を持つものですから、これを売却して早期現金化を図ることはできます。
ファクタリング業者は一定の手数料を受け取り、売掛債権を買い取って買取金を支払います。
売掛債権を売却した会社はその代金を事業資金として活用できます。
ファクタリング業者は買い取った売掛債権に基づき、売掛先企業から資金を回収することで儲けを得ることになります。
具体的な取引ロジックは下の項で詳しく解説しますのでご覧ください。
■融資との違い
金融機関による融資や借り入れは、法律上は金銭の消費貸借契約という種類の取引になります。
つまりお金を借りて、一定期日までに利息を載せて返すというものです。

ファクタリングはお金の貸し借りではなく、法律上は債権の譲渡取引の種類になるので、取引の種類自体が異なります。
お金の貸し借りではないので、ファクタリングには利息や返済という概念もありません。
例えば事業資金が不足した時には他にも不動産や在庫商品などの資産を売却してお金に換えることも検討されますが、債権の売却も性質としてはこれに近いものです。
保有する資産を売却して資金を得るということで、借り入れに頼らない資金調達を可能にするのがファクタリングです。
借り入れは財務諸表上で負債の増加となるので赤字になり得るものですが、ファクタリングは債権の譲渡ですから負債が増加することはありません。

財務上の見た目が悪化しないのも特徴の一つです。
またファクタリング業者に支払う手数料は損金扱いできるので、税金の圧縮にもつながります。
なお、融資の中には売掛債権担保融資といって売掛債権を担保にして貸し付けを行うものもあります。
このタイプの融資は不動産などの代わりに売掛債権を担保に利用するもので、ファクタリングのように債権を買い取るわけではありません。
こちらはあくまで貸付けですからファクタリングとの違いを押さえておきましょう。
■違法性の有無について
一般的になってきたとはいえ、歴史的には比較的新しい資金調達法ということで怪しい取引なのではないか、違法性はないのか心配する人もいます。
まず、ファクタリングそのものは全く違法性がないと断言できます。
経済産業省も売掛債権のように目に見えにくい流動資産を用いた資金繰りを推奨していますので、これからはより一般化していくでしょう。
ただしファクタリングは貸金業のように国に強く規制されていないため、多くの事業者が自由に参入できる状態になっているということを気に留めておく必要があります。
融資や貸し付けを行うには貸金事業者として国に登録しなければならず、各種規制法のルールに則って事業を行わなければなりません。
ファクタリングは上で述べたように貸金業ではないので、特に登録や許可などを要せずに事業に参入できます。
中には良心的でない業者や、悪質な営業をする業者がいる可能性もあるので、この点は利用者側が気を付ける必要があるでしょう。

取引をするファクタリング業者の信頼性や安全性を見極める必要があるということですが、当サイトではすでに多くの企業が利用し安全性や信頼性が確かめられているファクタリング業者の情報を発信していますので、こちらを参考にして頂ければと思います。
もう一つ、ファクタリングは売掛金の支払期日が到来する前の債権だけを取引の対象にできる点もお伝えしておきます。
支払期日が到来しても支払いを受けられていない債権は、いわゆる焦げ付きを起こした不良債権です。
不良債権を買い取れるのは、国から「サービサー」と呼ばれる債権管理回収業の許可を得た一部の業者や弁護士法人などだけです。
一般のファクタリング業者は支払期限が過ぎた不良債権の買い取りはできないことになっているので、もしそのような債権も買い取ることをうたう業者がいたら怪しい業者ですので接触しないようにしてください。
■ファクタリングの取引ロジック
ここではファクタリングによって売掛債権を現金化する取引のロジックを説明します。
ファクタリングには二社間取引と三社間取引の二種類の形態があり、それぞれ特徴や仕組み、手数料などが違ってきます。
以下でそれぞれ見ていきます。
①二社間取引によるロジック
二社間取引では、売掛債権を譲渡する企業と、債権を買い取るファクタリング業者の二社が取引当事者となります。
売掛先企業は取引に参加することがなく、知らせる必要もないので相手に資金難の事情を知られる心配が要りません。
流れとしては以下のようになります。
1:債権譲渡企業とファクタリング業者で契約を締結
2:売掛債権の所有権がファクタリング業者に移転
3:売掛先から債権譲渡企業に通常通り売掛金が入金される
4:債権譲渡企業→ファクタリング業者に売掛金を移送する
ポイントは上記2で債権の所有権がファクタリング業者に移転しているので、3で得られる売掛金もファクタリング業者に権利がある点です。
債権の所有権を失っている売掛債権譲渡企業が売掛金を使い込んでしまうと横領などの罪に問われることになるので注意してください。
二社間取引では売掛先の合意がとれていないことから、ファクタリング業者としては資金回収にリスクが伴うことを考慮し、下の三社間取引よりも手数料が高くなるのが普通です。
ファクタリング業者によって、また売買される債権の質や諸条件によって手数料は変わるので都度確認が必要ですが、一般的には二社間取引の場合10%~30%程度が手数料の相場になります。
また二社間取引では債権譲渡企業とファクタリング業者の折り合いが付けばすぐに現金化が可能なので、早ければ即日の現金調達が望めます。

②三社間取引によるロジック
三社間取引では売掛先の企業も取引当事者となり、契約書への署名押印が必要です。
売掛債権譲渡企業としては、売掛先の合意を取る必要があり信用面で影響が出ることもあります。
その代わり手数料の面では優遇され、一般的には1%~9%程度が目安になるとされています。
以下で三社間取引の流れを確認します。
1:債権譲渡企業、売掛先企業、ファクタリング業者で契約を締結
2:売掛債権の所有権がファクタリング業者に移転
3:売掛先からファクタリング業者に直接売掛金が支払われる
三社間取引では売掛先が債権譲渡について承知しているので、債権を譲渡した会社を経由せずに直接ファクタリング業者に支払いが行われます。
資金回収のリスクが低いため手数料が優遇されるわけですね。
また三社間取引は売掛先の合意を取る作業が必要なことから、それなりに日数を要すため現金化までに数日を要することが多くなります。
以上ファクタリングの2つのロジックを見てきました。
ファクタリングを利用する側としては手数料の負担や信用面の影響、現金化までの速さなどを考慮して、有利な方を選べるのも利点になります。
■ファクタリングのメリット
ここではファクタリングによる資金調達のメリットをまとめて見てみましょう。
①迅速に現金を用意できる
一般的な銀行融資では審査に時間を要し、融資実行までに月単位でかかることも珍しくありません。
ファクタリングならば二社間取引では最短即日、三者間取引でも数日程度で資金化が可能です。
②自社の信用はあまり重要視されない
ファクタリングで重要視されるのは売掛先の信用であり、債権譲渡企業の信用面はそれほど重視されません。
そのため現状赤字経営だったり、税金の支払いに滞納が出ているケースでも問題ないことが多いです。
③保証人や担保が不要
融資や借り入れでは返済焦げ付きのリスクに備えて保証人や担保の用意を求められることがほとんどです。
ファクタリングではすでに権利が確定している売掛債権を売買の対象とする債権譲渡取引であるため、保証人や担保の用意は不要です。
④ノンリコース取引が可能
ノンリコース取引とは、万が一売掛先企業が倒産するなどして資金回収が見込めなくなった時でも、債権を譲渡した企業がその責任を負わなくて良いというものです。
売掛先が倒産するなどした場合の責任はファクタリング業者が負います。
⑤財務諸表上で見た目が悪くならない
融資は借金ですから財務諸表上で赤字が増加し見栄えが悪くなりますが、ファクタリングは赤字が増加することがありません。
■ファクタリングのデメリット
逆にデメリットとしては以下を挙げることができます。
①手数料がかかる
三社間ファクタリングでは二社間取引よりも手数料が抑えられますが、一般的な借り入れに際する利息と比べるとファクタリングによる手数料の方が負担として大きくなります。
②債権譲渡登記が必要なこともある
債権譲渡登記とは債権の譲渡がされたことを登記に反映させるもので、二社間取引を希望する場合は債権の二重譲渡をけん制するためにファクタリング業者に求められることがあります。
登記は誰でも閲覧できるので、もし売掛先が登記をチェックすれば債権譲渡の事実が知られていまい、二社間取引のメリットである秘密性が失われてしまいます。
ただ、特段の事情が無ければ登記をチェックされることはまずないので、債権譲渡登記をしたとしても基本的には売掛先に知られることは無いと考えて差し支えありません。
■まとめ
本章では資金調達法としてのファクタリングの仕組みやメリット・デメリットなどを見てきました。ファクタリングは掛け取引を行う際に発生する売掛債権を譲渡して現金化し、これを事業資金に充てるものです。
性格としては債権の譲渡取引となり、融資や貸し付けとは根本的な性質が異なります。
実際の取引には二社間取引と三社間取引があり、ロジックの違いから迅速性や手数料の負担、信用面への影響などで違いがあります。
ファクタリングを利用する場合はどちらの種類の取引が有利か考えた上でファクタリング業者に相談し、具体的な手数料負担などを考慮し納得の上で取引に臨むようにしてください。

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