経営者にとって企業活動に必要な資金が枯渇しないようにすることは至上命題です。
資金調達手段は複数ありますが、現実には銀行融資に頼る場面が多くなります。
銀行に融資をお願いする際には各種資料の提出を求められ、その中の一つに事業計画書があります。
この回ではなぜ銀行が事業計画書を求めるのか、どのように作成すれば良いのか見ていきますので、ぜひ参考になさってください。
目次
事業計画書とは
まず事業計画書がどのようなものなのか簡単に押さえます。
名前からある程度予想はできると思いますが、自社の事業がどのようなもので、その事業活動からどの程度の利益を、どのくらいのスパンで生み出していこうとしているのか、という計画をまとめたものです。
普段から、経営者の頭の中には将来にかかる事業戦略がざっくりと描かれていると思います。
これをより明確化、細分化して、具体的な計画としてまとめるのが事業計画書です。
このような性質を持つものですから、事業計画書は融資の際だけに利用されるものではありません。
例えば社内で今後の事業戦略を検討する際などに作成されることもあり、作成する目的によっては記載される内容やニュアンスが異なってきます。
事業計画書を作ることで、経営者や企業にとって以下のようなメリットが生じます。
①マーケットにおける自社の立ち位置を認識できる
事業計画書では競合他社の動向や市場分析なども入るので、マーケット内での自社の立ち位置や優位性、弱点などを分析し、まとめることができます。
現状を知ったうえで、今後どうしていけば良いかが明確になります。
②売り上げ目標が明確になる
売り上げなどの数値目標は適当に設定すれば良いわけではありません。
市場規模の調査を行い、理論的に導かれる数値でなければ絵に描いた餅ですし、社員のやる気も引き出せません。
事業計画書を作成することで根拠に基づいた数値設定が可能になります。
③訴求対象を明確にできる
訴求対象の分析は売上確保に欠かせません。
ターゲットとなる対象の年齢や性別、所在地などの属性を明確にすることで、相手に“刺さる”商品やサービスの開発ができるようになります。
④社内で事業戦略を共有できる
会社は経営者だけで動くわけではありません。
仲間となる役員や社員の頑張りに期待するところも多く、その仲間とは事業戦略の共有をしておかないとスムーズに事が運びません。
事業計画書を作ることで仲間との情報共有が可能になります。
融資で事業計画書が求められる理由
では融資の場面でなぜ銀行が事業計画書を求めるのか考えてみましょう。
融資の審査では貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を必ずチェックされますが、これは融資対象の現在の経営状態を把握するためです。
もし現状で経営状態があまりよろしくない場合、基本的に銀行は融資に及び腰になるでしょう。
しかし財務諸表では今現在の状態しか分かりません。
仮に現状の経営状態が悪くても、将来性があることを説明できれば融資を受けられる可能性は十分あります。
融資の際に作成する事業計画書の役割はまさにそこにあり、銀行に将来性を認めてもらうための資料として作成、提出するものです。
貸借対照表などの財務諸表が返済リスクを判定するために必要な資料だとすれば、事業計画書は銀行に「貸したい」と思ってもらえるように将来性を説明する資料と捉えることができます。
では銀行融資の際に作成する事業計画書でどのようなことをまとめていくのか、次の項で見ていきます。
事業計画書の記載内容
銀行融資打診の際の事業計画書では、以下のような事項を記載し、まとめていきます。
①経営理念や事業目的
この会社が何のため活動しているのか、何を目的にしているのかを伝える項目です。
この項目では自社の商品やサービスについてあまり深掘りせず、社会にどのようなニーズがあって、そのニーズを満たすために我が社はこのような商品、サービスを開発、提供しています、という程度の説明で構いません。
②会社概要
会社の所在地や設立年月日、資本金額、従業員数などの会社概要の項目です。
ここは定型的なものですので悩む必要はないでしょう。
③経営者の履歴
これまでの経営者の事業履歴を記載します。
これまでの事業実績をアピールすることで、今後の利益創出に期待が持てるということを説明できます。
例えば過去に行った借り入れ金額を示し、その資金でこのような事業を成功させ、〇〇万円の売り上げを記録、約定通りに全額を返済した、などと事業の成功実績と絡めて借り入れ金をしっかり返済したという事実も伝えると効果的です。
④訴求対象及び自社商品やサービスの特徴
自社で生産、提供する商品やサービスがどのようなもので、誰に対して訴求するのか、また競合他社と比べてどのような優位性があるのかを説明する項目です。
ある製品を想定する場合、ありがちな例としては経営者が自社製品を愛するあまりその製品についてのウンチクを事細かに説明することがよくあります。
製品について愛情を持つことはもちろん悪いことではないのですが、事は製品の売込みではなく融資を引きだすのが目的だということを忘れてはいけません。
銀行はその製品自体に興味があるわけではなく、その製品が市場に受け入れられ、しっかり利益を上げられるのかというところを見たいのです。
ですからこの項目ではまず訴求対象となるターゲット層について詳しく記載します。
年齢や性別、住所、働き方など細かいターゲット層の想定をし、どんな顧客に売り込むのかを設定します。
その相手に対して、喜んで買ってくれるであろう製品として自社製品の説明を行うようにします。
ニーズに対して訴求力がある製品やサービスであると融資担当者に分かってもらえるように工夫しましょう。
⑤販売戦略について
利益の上げ方について、数値を用いて説明する項目です。
客単価や回転数などの根拠を示しながら、日単位、月単位、年単位でどのくらいの売り上げを上げていくのかを示します。
飲食店などの場合は一人当たりの客単価を想定し、座席数などから一日あたりの想定売り上げを算出します。
これを月単位、年単位でまとめ、会社としてどれくらいの売り上げを確保できるか説明します。
数値を出して説明する以上、無理な数値を入れると担当者に突っ込まれることになるので、十分実現性のある数値を用いるようにしてください。
⑥原料や資材の調達方法
自社製品の生産に必要な原料や資材は企業秘密にも通ずるものですが、資金の融通をお願いする身としてはこうした機密情報についても提出を求められます。
どうやって儲けを出しているのかつまびらかにすることは経営者として避けたいところでしょうが、そうしないと銀行側が融資をしても良いかどうか判断できません。
原料の調達先や原価もしっかり説明し、その原価を元に作った自社製品をいくらで売って、いくらの儲けを出すのかといった儲けのしくみを相手に公開することになります。
他人の資本に頼って資金調達をするには、こうした不利益も受け入れなければなりません。
⑦損益計画
損益計画は月単位をベースに作成し、これを基に年単位の計画を作ります。
損益計画は売り上げを元に社内の資金の増減を予想するものです。
ここで示される社内の資金が、次の返済計画の原資となります。
⑧返済計画
月単位、年単位でどうやって利益を確保するかが分かったところで、その資金を原資にどうやって返済するのかを融資担当者に示す項目です。
融資担当者が安心できるよう、充分納得性のある返済計画を立てましょう。
まとめ
本章では銀行融資を受ける際の事業計画書について見てきました。
融資事案における事業計画書は会社の将来性を銀行に説明するための資料で、仮に経営状況がかんばしくない場合でも事業計画書で将来性を示せれば融資を引き出せるチャンスが生まれます。
事業計画書は経営者単独で作成しようとしても思うようにいかないこともあるので、専門家を上手に活用しましょう。
自治体や商工会などの窓口では適任の専門家を紹介してもらえるので、ぜひ活用してください。
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